2022.09.13
【注文住宅のコンセント】失敗例から学ぶ最適な位置・後悔しない数とは?
電化製品を使用するにあたり、必要不可欠なコンセント。しかし、「家具や家電を設置してみたら、位置が悪くて不便」「コンセントの数が足りず、あちこちタコ足配線になっている」「この部屋・この場所には、コンセントが必要だった・不要だった」……といった注文住宅での失敗談も、よく耳にします。こちらの記事では、注文住宅におけるコンセントの失敗例から、最適なコンセントの位置・コンセントの目安数をご紹介。お部屋ごとに詳しく解説いたしますので、ぜひご参考ください♪
目次
1.【基礎知識】そもそも注文住宅とは?
土地に間取り、使用する建築材や設備に至るまで、ご希望・ライフスタイルに添ってオーダーする一戸建てを、注文住宅と呼びます。「フルオーダー住宅」と「セミオーダー住宅」の2種類が、代表的な注文住宅として挙げられます。
■フルオーダー住宅とは
他の家々とは一線を画す外観、洗練された内装、ご家族の趣味に合わせた間取り、計算された動線、暮らしを高める設備など……。全ての仕様を、自由にカスタムしていく注文住宅です。まさに、オーダーメイドな住まいだと言えます!
■セミオーダー住宅とは
ハウスメーカーがあらかじめ、間取りや家のスペック・仕様を複数パターン用意。その中から、家族構成に合った間取り、生活に必要な設備、お気に入りのデザインをチョイスしていく注文住宅になります。人気のある間取りや、需要の高い設備を取り揃えるケースが多いため、満足度の高い住まいになりますよ!
2.キッチン:コンセントの位置と目安数
住まいの中でも、多くの家電が集まるキッチン。コンセントの数が足りなかったり・位置が悪かったりすると、お料理がしにくく後悔ばかりのキッチンになりかねません!
キッチンのコンセントは、冷蔵庫用も含め2口コンセントを3~4か所作るのが正解! システムキッチンに備え付けの手元コンセントに加え、「コンロとシンクの間の壁」「背面の壁」を基本に配置しましょう。
キッチン備え付けのコンセント・コンロとシンクの間のコンセントは、ミキサーなどの一時的なキッチン家電の使用のほか、デバイスの充電にも活用出来ます。スマートフォンでレシピを見ながら、あるいはタブレットでお気に入りの動画や音楽を流しながら、お料理作りに取り組むことが可能に♪
キッチン背面のコンセントは、電子レンジや炊飯器といった日々使うキッチン家電用にすると、毎日の炊事が捗ります! 壁から離れた独立型(アイランド型)キッチンの場合でも、同じく背面の壁にコンセントを作るとキッチン家電の電源確保に困りません。
3.ダイニング:コンセントの位置と目安数
キッチンのすぐそばに設計されるケースが多い、ダイニング。食事を摂る場所として、テレワークスペースとして、はたまたお子さんの勉強の場として……。そんなダイニングで、コンセントの数・位置を失敗してしまうと、食事しにくく仕事も学習もはかどらない、後悔の多い場所となってしまいます……。
ダイニングでは、ダイニングテーブルに合わせた高さに2口コンセントを1か所~2か所、それに加え足元に2口コンセントを1か所作ると便利!
ダイニングテーブルの高さに合わせたコンセントは、延長コードを使わずにホットプレートやコーヒーメーカーなどのキッチン家電を繋ぐのに、丁度良い位置取り。 足元のコンセントはテレワークやお勉強の際に、ノートパソコン・タブレットの充電に重宝することとなるでしょう!
4.リビング:コンセントの位置と目安数
テレビなどの黒物家電に始まり、エアコンや空気清浄機、固定電話やモデムなどの通信機器、ロボット掃除機の基地、お子さんが居るご家庭ならゲーム機など……。数え上げるとキリが無い、リビングに常備しておきたい家電達。リビングのコンセント数が不足していたり位置が悪いと、憩いとは程遠いスペースになってしまう場合も!
まず、テレビの裏側となるエリアには、2口コンセントを2か所以上作りましょう。コンセントの挿し口が4つ以上あることで、テレビ以外のレコーダーや外付けスピーカーなどのAV機器・ゲーム機などを、繋げやすくなります。長く暮らす内に、テレビ周りの家電達が増えることも考慮すると、コンセントの挿し口は4つ以上あっても良い位です!
また、テレビ近くにモデムを設置するケースや、テレビ・すえ置き型ゲーム機をインターネットに繋ぐならば、マルチメディアコンセントも便利でオススメです。アンテナ端子とLANポートが一緒になったコンセントのため、配線でゴチャつきがちなテレビ周りも、スッキリとした印象をキープしやすく!
なおテレビ周りに4口コンセントを作る場合は、繋げる機器に要注意! 空気清浄機やモデム・Wi-Fiルーターなどは、機器の性質上 箱型のACアダプターが付属していることがほとんど。4口コンセントでそれらの電源を賄おうとすると、アダプターどうしが重なり合いコンセントじゅうぶんに活用出来ないケースもあります。
そしてテレビを壁掛けタイプにするのならば、コンセントの高さに留意しましょう。せっかくの壁掛けテレビで おしゃれな空間を作れたとしても、配線が目立ってしまうと魅力が半減することに……。テレビの設置位置を具体的にイメージし、コンセントの場所をオーダーしましょう♪
さらに模様替えやソファといった家具の買い替えにより、コンセントの位置が遠くなってしまった・隠れてしまった……という、長年住んでからの後悔も少なくありません。そんな失敗を予防するには、壁際のコンセントとは別に、フロアコンセントを設置することを推奨します!
フロアコンセントとは、床面に取り付けるタイプのコンセント。リビングの床に2か所~3か所点在させると、模様替えをしても家具を買い替えても、使い勝手を損なわないコンセントになります。使う時だけ床から露出させるポップアップ式のフロアコンセントは、スマートフォンの充電や掃除機がけなど、一時的なコンセント利用にはうってつけだと言えますね!
5.脱衣所/洗面所:コンセントの位置と目安数
洗濯機や乾燥機の置き場となる、脱衣所。ドライヤーなどの美容家電、電動歯ブラシ・電動シェーバーなど、身だしなみ家電が揃う洗面所。注文住宅に住まう誰もが利用する場所だからこそ、脱衣所・洗面所のコンセント数が足りない・位置が使いにくいなんて失敗は、絶対に避けたいですよね。
脱衣所のコンセントは、2口コンセントを2か所以上取り付けするのが正解です! 1か所目は洗濯機用として腰より高い位置に、2か所目は足元に設置すると◎足元のコンセントは、寒い冬時期に電気ヒーターを置いたり、夏場にサーキュレーターを使用するなど臨機応変に活用出来ます♪
また洗面所のコンセントは、洗面台に備え付けのコンセントとは別に、壁にも1か所以上作って貰いましょう!
洗面台備え付けのコンセントは「1200W(ワット)まで」といった、使用できる家電の消費電力に限度を設けていることがほとんど。今どき人気の大風量ドライヤーは1200W(ワット)以上が多いため、洗面台のコンセントでは使用できません。水ハネなどを考慮して洗面ボウルから離れた場所、なおかつ腰よりも高い位置にコンセントを作っておくと、高機能な美容家電も心置きなく使用できますよ♪
6.トイレ:コンセントの位置と目安数
「トイレは温水便座用のコンセントだけでOK」と、安易に考えるのは要注意! 寒い季節、部屋どうしの温度差で起きやすいヒートショックは、トイレでも起こりうる可能性の高い健康被害です。コンセントが温水便座用の1つのみ、あるいは便器の後ろに隠れる位置だと、冬場に暖房器具を置くこともままなりません。
トイレのコンセントは、温水便座用+多目的用として、2か所は必要だと言えます。
温水便座用コンセントは、便器の真後ろに作ってしまうと、掃除が行き届かずホコリの温床となるケース大! 見える位置にコンセントを作ると、後悔ナシに。 加えて便器より手前、出入口周辺にもう1か所コンセントを作っておくと、暖房器具やプラグタイプの消臭機器の設置に役立ちますよ!
7.寝室(居室):コンセントの位置と目安数
エアコン、スマートフォンの充電、テレビ、ベッドや学習机用の電気スタンド、電気毛布・布団乾燥機といったお布団関連の家電など……。寝室(居室)でコンセントを使用するタイミングって、意外と多いですよね。コンセントの位置が悪い・数が足りないと、延長コードや電源タップでタコ足配線だらけとなり、後悔する結果に……。
寝室(居室)のコンセントは、畳6枚未満のお部屋なら2か所~3か所、畳6枚~10枚のお部屋なら4か所~5か所を、目安の数としましょう。またコンセントの位置は、お部屋の対角線を意識した配置が基本! 寝室(居室)の出入口付近に1か所・奥に1か所、それぞれ2口コンセントを設けましょう。
それに加え、家具・家電の配置を考えながら、コンセントの数を増やしたり、位置を検討する必要があります。お部屋にテレビ・AV機器を設置するならば、テレビを置く位置に2口コンセントを2か所以上、お子さんのお部屋なら学習机周りのコンセントも欠かせません。
また特に気を付けておきたいのが、ベッド周りのコンセント。スマートフォンの充電、電気毛布や加湿器の利用、電動ベッドの電源供給先など……。ベッド周辺のコンセントは、注文住宅で過ごす人により使いみちが異なります。ベッドで誰がどのように過ごすのか・ベッドに被らない位置なのか、イメージしつつコンセントの設置を依頼しましょう!
8.階段/廊下:コンセントの位置と目安数
通路となる階段や廊下のコンセントも、度外視出来ません! コンセントの数・位置を失敗してしまうと、掃除機がけしにくく夜は暗い階段・廊下になったりと、暮らしにくさに繋がり後悔を感じる日々に。
階段には、昇り始めと昇り終わりに1口~2口コンセントを1か所ずつ作ると掃除機がけに便利! 昇った先に作るコンセントは、階段から距離を取った位置にすると、転落などの心配も少なくなります。なお、階段の途中で踊り場のある折り返し階段や、中二階を作る場合は、それぞれに2口コンセントを1か所は設けましょう!
廊下は長さにもよりますが、中腹辺りにコンセントがあると掃除機がけに利用出来ます。さらに、廊下~階段の照明を常夜灯にするならば、コンセントを等間隔に配置すると◎
9.玄関/外:コンセントの位置と目安数
マイホームの顔ともいえる、玄関周り。マンション・アパート住まいだと見落としそうになる、屋外。コンセントの配置・数をおろそかにしたばかりに、住んでから増設工事が必要になった……。なんて後悔、絶対に避けたいですよね。
玄関には、2口コンセントが1か所あると便利! 特に、玄関に靴箱を作る場合は、靴箱上部のコンセントがオススメです。靴箱の上にコンセントがあると、インテリア照明や水槽などを置いたり、クリスマス・ハロウィンといった季節飾りの設置も叶います。家の中に入って最初に目にする場所だからこそ、おしゃれな玄関を演出しましょう♪
外のコンセントは、外構(がいこう)やライフスタイルから、設置位置・数を精査していきます。
玄関周りに、防犯センサーやイルミネーション用のコンセントを……。高圧洗浄機などで洗車を行うならば、駐車場の近くにコンセントを……。広いお庭があるなら、ガーデニングライト用・DIY用のコンセントを……。用途・便利さを重視して、それぞれ配置していきましょう!
また、外回りで失念しがちなのが、テラス・バルコニー・ウッドデッキといった、「室内から直接アクセス出来る屋外」へのコンセント。
ホットプレートによる焼肉やBBQ・たこ焼きパーティーは、ダイニング・リビングで行うとニオイが気になりますし、延長コードを伸ばして外で行うのも わずらわしさがあります。テラス・バルコニー・ウッドデッキのある注文住宅では、屋外コンセントを1か所作っておくと、開放感も味わいつつニオイの心配も少ない、ホットプレート調理が叶います!
10.注文住宅で人気のオプション別! コンセントの位置と数
注文住宅で人気のオプション別に、必要なコンセントの目安数・便利な位置をご紹介します!
■ウォークインクローゼット
出入り可能な大型収納である、ウォークインクローゼット。畳2枚分から3枚分の広さで設計するならば、足元に2口コンセントを1か所作っておくと◎ アイロンやシワ取りスチーマーなどの、衣類家電を使うタイミングで活躍してくれますよ!
■ファミリークローゼット
家族みんなのお洋服が収納出来る、ファミリークローゼット。衣類以外にも、掃除用品や防災グッズなど、必需品かつ目立たせたくない品々の置き場としても最適です。コードレス掃除機の充電用に、あるいはアイロンの電源用として、2口コンセントが足元に1か所あると便利でしょう♪
■ランドリールーム
洗う・乾かす・アイロンがけ・畳むを1部屋で完結出来る、ランドリールーム。洗濯機をランドリールームに置くならば、腰の位置を目安にコンセントを。ランドリールームで、アイロンがけやミシン作業を行うならば、作業台に合わせた高さのコンセントがあると、便利で家事効率も格段に向上しますよ!
■ワークスペース・スタディスペース
ワークスペース・スタディスペース用に備え付けのカウンターを依頼するなら、天板より上の位置にコンセントを作ってもらいましょう! 1人用のコンパクトなカウンターなら中央に、広く大きなカウンターならば両端に。カウンターの広さに合わせて2口コンセントを設置すると、ケーブルのゴチャつきを回避出来ます。
■シューズクローク
注文住宅で近年 注目を集めているのが、靴や雨具などをまとめて収納可能なシューズクローク。 ウォークインクローゼットと同じく出入りOKな収納のため、常に整理整頓された玄関に♪ 濡れてしまった靴を乾かすシューズドライヤー、電動自転車のバッテリー充電、電動工具の充電など……。玄関・外で使うグッズ用に、2口コンセントが足元に1か所~2か所あると、シューズクローク内で完結可能に。
■インナーガレージ・ビルトインガレージ
車が好きな方やバイクが趣味の方から要望の多い、インナーガレージ・ビルトインガレージ。お手入れやメンテナンスの度に、室内から延長コードを伸ばし電源を確保するのも考えもの……。インナーガレージ・ビルトインガレージ内に、2口コンセントが1か所~2か所あると、そんな手間から開放されます! なお、地面から30cm~40cmほど離れた高さにコンセントを設計すると、お手入れ時に水ハネしても安心&安全です!
11.注文住宅設計時に役立つ! コンセントの豆知識
注文住宅設計時に役立つ、知っておきたいコンセントの豆知識を3つご紹介します!
■コンセントの高さって床から何cmぐらい?
足元で見かけるコンセントは床から25cmほど、テーブルのコンセントは座った時にちょうど良い高さ、洗濯機などの家電用コンセントは腰より上……と、コンセントの用途別にそれぞれ目安の高さがあります。
ここで是非とも押さえておきたいのが、床から40cm~45cmの高さに位置したコンセント。しゃがまずとも手が届くコンセントは、ご年配の方にとって使いやすい高さです。ご両親と一緒に暮らす場合はもちろん、年を重ねても使いやすいコンセントだと言えますね!
■ブレーカーが落ちるのはコンセントのせい?
一般家庭のコンセントは、1か所につき消費電力1500W(ワット)までが上限。そのため、一挙に多くの家電を動かしてしまうと、ブレーカー(アンペアブレーカー)が落ちてしまいます。特に発熱・冷却する家電は消費電力が大きく、エアコンやIHクッキングヒーター・食洗機などは、専用の電気回路が必要なケースがほとんど。
キッチン・リビング・洗面所など、発熱・冷却する家電が集合する場所には、あらかじめコンセントを多めに作っておくと◎ ブレーカー(アンペアブレーカー)が度々落ちるような事態を、未然に防ぐことが出来るでしょう!
💡ワンポイント:雷がコンセントから入ってくる!? 雷サージとは
住んでいる注文住宅に雷が直撃しなくても、周辺の地面や電柱・建物に落雷により発生する、雷サージ。電線などからコンセントを通り屋内へ侵入し、家電や電子機器の故障を引き起こします。特に、パソコンやテレビをはじめとしたICチップ・半導体が用いられた機器・家電が、雷サージの被害を被る確率大!
天気予報で雷注意報が出ていたら、前もってプラグを抜いておく・雷サージに対応した電源タップを利用するなど、コンセントから雷サージ対策を行うことが重要です!
■コンセントの大敵はホコリ!?
「トラッキング現象」という言葉を、耳にした経験はありませんか? 繋ぎっぱなしのプラグとコンセントの間にホコリが溜まり、そのホコリが湿り気を帯び、火花が発生し発火する、家庭内の事故を指します。
テレビ裏などのコンセントは、知らず知らずの内にホコリが溜まってしまうため、マメなお掃除を心がけましょう! 加えて、使う頻度の少ないコンセントは、カバーをつけるとホコリの侵入を押さえる効果が期待出来ます。お子さんのイタズラ防止策としても有効です。
注文住宅における、お部屋ごとのコンセントの位置・目安数をご紹介いたしました。コンセントの失敗や後悔を防ぐ1番の方法は、マイホームでの暮らし・ご家族それぞれのお部屋での過ごし方を、上手にイメージすることだと言えます。不便のないコンセント位置、タコ足配線にならないコンセント数実現のために、こちらの記事をお役立ていただけますと幸いです♪
【“失敗例と対策” 関連コラム】
▼コンセントの位置・数を、間取りや動線に合わせてもっと具体的にイメージしたい……! 来場予約はこちらから♪
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津田 洋平(一級建築士)
悠悠ホーム株式会社 建築プランナー
家は、お客様にとっては人生最大のお買い物。
建築プランナーの仕事はそんなマイホームに託すお客様の「夢」を図面化すること。
打合せの際には、建築士としてのプロの目と、住む人の目線に立って考えることを大切にしています。
満足いただけるよう一軒一軒が真剣勝負だと思って、ご提案とご説明を尽くすことを心掛けています。
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